フェラガモ:FERRAGAMO

9歳で靴を作った早熟天才職人

「羽のように軽く足にフィットする靴」といえば、知る人ぞ知るサルヴァトーレ・フェラガモの靴。要するにフェラガモの靴は履きやすいのである。創業者のサルヴァトーレ・フェラガモは早熟な天才靴職人だった。すでに9歳の時に靴を作り始めている。彼は1898年、ナポリの小さな村に、14人兄弟姉妹の11番目として生まれた。家は大変貧乏であった。9歳で学校を中退したサルヴァトーレは近くの靴修理屋の仕事を見ているうちに、靴屋になりたいと思うようになった。しかし父親は大反対であった。

ある日の事、6歳になる妹ジュゼピーナの聖餐式(キリスト教の儀式の1つ)を明日に控え、そこにはいていく靴がないといって母親が嘆いていた。そこでサルヴァトーレは、自分が作ってやろうと思い、近くの靴修理屋で必要なものを揃え、靴を作り始めた。彼はそれまで一度も靴を作った事はなかったが徹夜で作り出した靴は9歳の子供が作ったにしては異常に素晴らしい出来栄えであった。そして父もサルヴァトーレが靴屋になる事を許した。サルヴァトーレは見習い修行をし、早くも14歳の時には、ナポリで6人の職人を使って店を構えるまでになった。

その後まもなくして彼はアメリカに渡った。アメリカでは機械生産が主流であったが彼はそれを拒否し手作りにこだわった。ハリウッドの撮影所の近くに店を持ち、最初は映画用の靴を手がけていたが、履き心地が良いことから俳優たちの私用の靴も請け負うようになった。その中にはマレーネ・ディートリッヒ、オードリー・ヘップバーン、チャールズ・チャップリンなどの著名な映画俳優たちも数多くいた。

1927年イタリアに戻りフィレンツェに工房を開設、6年後に世界恐慌の影響で倒産するも2年後に再建し中世に建てられたスピーニ・フェローニ宮殿を購入。そこに会社を構えた。そこが現在フェラガモの本店となっている。その3階にサルヴァトーレ・フェラガモが作った靴が展示されているのだが、その中には魚の皮で作られた1920年代の実験的な靴や、カンガルーの革の靴、麦わらで作った靴、マリリン・モンローのために作ったワニ皮の靴など興味深いものがたくさんある。またフェラガモの死後は靴だけではなくトータルブランドとしてバッグ、香水など様々な分野を手がけるようになり現在に至っている。

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